蓄積リング真空系の系統
なぜ、真空にするか。・・・電子が散乱されないため。
大気圧 | 101325Pa | 760Torr | 1 ata (0ata) |
SR on beam | 10-7Pa | 10-9Torr | 10-12ata |
R off beam | 10-9Pa | 10-11Torr | 10-14ata |
残留ガスをN2として、分子1個が占める体積は?
アボガドロ数Na:6.022E+23個/mol
完全気体の体積V:2.24E-2m3/mol (1ata、0℃)
大気圧で1個の分子が占める体積:V/Na=3.72E-26 m3/個
SR on beamのとき(P=1E-12ataのとき):V/Na/P=3.72E-14 m3/個
V/Na=3.72E-26*(1/3.75E-7)^3=7.05E-7 m3/個
=0.705cm3/個 =8.9mm^3 /個
SR on beamのとき(P=1E-12ataのとき):
V/Na/P=3.72E-14*(1/3.75E-7)^3=705422 m3/個
=89m^3 /個
vm/sec=129×(T/M)-1/2、v:最確速度、T:絶対温度、M:分子量
水素分子の平均自由行程
12cm(1ata、293K)
1.2E+9km/1.56km/sec(=水素分子の最確速度)=7.7E+8sec=24years
電子が残留ガスとの衝突等で、散乱、エネルギ損失を起こす。
・残留気体の原子核との散乱(Ratherford scattering)
・残留気体の核外電子との衝突(Moller scattering)
これらの衝突断面積の和σと圧力Pの積の逆数が寿命τとなる。
τ(寿命)=1/(σ×P)
低い圧力で、重い気体がないことが良い。
真空ポンプの到達圧力P(高真空〜超高真空)
圧力P(Pa)=ガス放出量Q(Pa・m3/sec)/ポンプ排気速度S(m3/sec)
2点間の圧力差ΔP(高真空〜超高真空)
例:配管のコンダクタンスC(m3/sec)=6.5E-2/√M・D3/L
M:分子量、D:配管径、L:配管長
分子流は分子同士の衝突を考慮しない。⇔ 粘性流
ガス放出の少ない材料で真空容器を作り、大きな排気速度のポンプで排気する。
ポンプは真空の欲しいところにできる限り近づけて、大きな径でつなぎ、圧力差がつかないようにする。
通常のガス放出=熱脱離(thermal desorption)
時間、温度とともに枯れる。
SR特有のガス放出
放射光照射による脱ガス=光脱離(photo desorption)
Np∝IE/ρ
η:イールド係数・・・molecule/photon
・・・物質による。Beam Doseとともに減少する。(枯れる)
Np:単位長さあたりに発生するphoton数
K:定数
I:ビーム電流
E:ビームエネルギ
ρ:偏向半径
大気開放をしても、履歴が残り、元の枯れた状態にすぐ戻る。
アルミチェンバ・・・主体
ベローズ部チェンバBE2,5C
残留放射能が少ない
非磁性
熱伝導率が高い(240W/m/K、SUS=16、銅=400)
軽い(比重ρ=2.69、 銅=8.93、鉄=7.86)
押出で、好きな断面のチェンバが安価に作れる。
注:アルミは合金成分で性質が大きく異なるので、注意。
無酸素銅、グリッドコップ
熱伝導率が高い(銅=400W/m/K)
強度が必要な場合、グリッドコップ(無酸素銅+アルミナ)
放射光施設の比較
E(GeV) | I(mA) | photon数 | 放射パワー | |
∝E*I | ∝E^3*I | |||
PF |
2.5
|
400
|
1
|
1
|
ESRF |
6
|
200
|
1.2
|
6.9
|
APS |
7
|
100
|
0.7
|
5.5
|
SP−8 |
8
|
100
|
0.8
|
8.2
|
偏向電磁石の磁場は同じとして |
大気圧〜高真空
一部ロータリポンプをスクロール式ドライポンプに改造中
超高真空で大排気速度(H2、CO)
ストリップ式を用いて、真空チェンバ内に分布させる。(DNP)
真空中で温度を450℃*1hr保持すると活性になり、排気を始める。
活性ガス(CO2、CO、N2、O2、H2O)とは反応して化合物を作り表面に吸着。
水素は固溶体を形成し、内部に拡散。
再活性:溜め込み式のポンプなので、満タンになると再活性する。
化合物は内部に拡散、水素は放出。
SIPは永久磁石で磁場を発生させているが、偏向電磁石の磁場を利用しているのが、DIPである。
フォトンダクトアブソーバ(pdab)に使用
IVG(Ionization
Vacuum Gauge)=BAG(Bayard-Alpert
Gauge)
E-2Pa〜E-9Pa
エキストラクタゲージも使用
E-1Pa(大気圧)〜E-8Pa・・・MPSで使用
E+3Pa〜E-1Pa・・・MPSで使用
蓄積リングでの圧力測定の誤差
Qmass 質量分析計(Quadrupole
Mass Spectrometer)
熱電子で気体をイオン化し(イオン源部)、イオンを四重極電極で質量/電荷の比で分離(分析部)、イオン電流を検出(検出部)する。
・・・入射部とRFの上下流のみIPを取付
サイクル間の停止中は上記RGVを閉として、万一リークがあっても1/8周だけで被害を食い止める。
不連続部に電子ビームが誘起する電磁場が、電子ビームに悪影響(ビーム不安定、エネルギー損失)を及ぼす。
機器も発熱・・・セル35_RV1損傷、セル37_RV1?
セル4のモニタセクションでベローズのRFフィンガーの温度を測定
下流のBPMはリーフスプリング(板バネ)支持装置で、ベーキング中は軸方向の熱膨張を吸収し、ベーキング後は元の位置に戻るように支持している。
BPMのベーキング前後での位置再現性:50μm
圧力の悪化:1つのセルで2台の正常な真空計の接点がoffになるとabort。
接点=圧力1E-5以下でon
真空計の接点を直接PLCに入力しているため、データベースの圧力では引っかからないことが多い。
当該セルのrv1、rv2、上流セルのrv2を閉にする。
AB3、4、CR1、2は流量が不明。弁の回転数でコントロール。
真空計の誤差
BゾーンのAB1&2系(A1系)流量低アボートの多発
流量計は8L/minに設定したものが、4〜5L/minに低下している。
同じヘッダのA2系は6L/minの設定流量に変化無し。
A1とA2の差は、入口調整弁がニードル弁かボール弁か。
Bゾーンのみで発生し、ACDゾーンでは発生しない。
推定原因:ニードル弁に汚れがたまり、流量が低下する。
調査:ニードル弁をボール弁に交換し、調査。